目次・プロローグ

はじめに


 フィッシュウォッチングの楽しみかたは、美しいさかなを鑑賞する、珍しいさかなを見つける、なるべく多くの種類のさかなを見るなどさまざまで、そのどれもが同じように楽しく、意味のあるものだと思います。最近はフィシュ・ウォッチングを楽しむダイバーも増えて来ましたが、そのなかでも「さかなの行動」に注目するという人はまだまだ少数派です。その理由のひとつに初心者が自分の見ているものの面白さに気づきにくいからということがあげられるのではないでしょうか。にもかかわらず、生態ウォッチャーを目指すダイバーが、どのようにさかなと付き合っていけばいいのかを簡潔にまとめた読み物は非常に少ないのです。個々のさかなの生態をエッセイ風にまとめた本などはいくつかあるのですが、ダイバーが目にするさかなの行動の意味を体系的に説明するものとなるとそのほとんどが難解な専門書です。

 学問苦手、覚えるの苦手の僕が、「入門」などというたいそうなものを書くのは、我ながら実におこがましいと思うのですが、フィッシュウォッチング仲間と海で観察をしていて、新たにサカナの生態観察を始めようという人を迎えたときに、いつもこのことを痛感していました。繁殖などの行動は見ているだけでも十分に興味深いものですが、ちょっとした知識と、それを元にしての推理が加われば、楽しみは2倍にも3倍にも広がります。それは生きものの「進化」に思いをいたし、さらには僕たち人間の由来にまで思考の世界を広げてくれるものなのです。

 これから取り上げる話はほとんどが、僕が手探りでさかなの生態ウォッチングを続けてきた過程で、読んだ本、専門家からうかがった話からの「うけうり」です。研究者ならぬ、一レジャー・ダイバーの書くことなので、誤解や無知からくる誤りも多々あると思いますが、そこはご容赦いただきたいと思います。これは、僕というダイバーの個人的な方法論なので、突っ込み不足の部分や、まったく触れられていない部分も多いはずです。それについては、専門書などを読んで、さらに知識を深めていただきたいと思います。

 これを読んで、これまで何気なく見てきたさかなたちの生活が、どれほどの驚きに満ちていたのかを再認識してくれるダイバーがひとりでも増えてくれれば、恥かき覚悟でこれをまとめた甲斐もあるというものです。


目次

リンクのないものは1か月1話のペースでアップしていく予定です

1. さかなもまた野生動物である 2. さかなの名前は何を意味する?
3. さかなの名前が意味しない!?・・・もの

4. どうしてこんなに種類が多い?

5.生態ウォッチングのすすめ 6. サンゴとコンブが同居するニッポンの海

7. さかなが語る地球の歴史

8. 死滅回遊魚の謎

9. どこにでも泳いでいける? 10. 砂底の住人、岩礁の住人
12. お掃除屋さん繁盛記
13. なりすまし大作戦 14. だましだまされ・・・・
15. サンゴ礁のさかながカラフルな理由 16. 勝負服!?・・・・婚姻色の謎
17. さまざまな愛のかたち 18. 卵を守るさかな、撒き散らすさかな
19. 男の価値、女の価値 20. 男がトク、女がトク、それとも・・・・?
21. 「女装」の繁殖戦略 22. さかなの結婚
23.「なわばり」で守るものは 24. さかなの「通い婚」
(以下構想中)